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2019.02.10
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このクラブなら、人生を賭けられる。【GM兼監督 深澤佑介】

2017年9月、TOKYO CITY F.C.は2014年のクラブ設立以来、最も重要な人物の加入を発表した。その名は、深澤佑介。CITYのGM兼監督だ。


深澤は静岡県立富士高校を卒業後、指導者になることを志してイングランドのリバプールに留学。


現地の大学を卒業後、Jリーグの湘南ベルマーレで育成・普及やトップチームの強化担当を務めたが、一旦サッカーの世界を離れてアクセンチュアに入社してビジネスの世界へ。

現在はスポーツマーケティング企業に務めながらCITYでGMと監督を兼任している。


強化とビジネスの両面を知る貴重な存在である深澤には、ベルマーレを辞めてからもJクラブから誘いの声が掛かっていた。


しかし、それらの誘いはいつも断っていたという。


では、そんな深澤がJリーグよりも遥か下のカテゴリーに所属するCITYでGMと監督を務めることになったのは、一体何故なのだろうか。


しかも、ただ単にGMと監督を兼任しているだけではない。


「このクラブなら、人生を賭けられる」


そこまで言い切り、圧倒的なコミットで選手・スタッフの誰もから信頼されている。


高校を卒業した年から、その経験と思考の軌跡をたどる。


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▼湘南ベルマーレで感じた、絶望的な差。

高校3年生、サッカー部として最後の試合を終えた11月。それまで将来なんて1秒も考えたことのなかった自分は、このスポーツ以外のことに大部分の時間を使うことが想像できず、自然とサッカーを仕事にしたいと考えた。プロサッカー選手になれないことは分かっている。それでもプロの世界で戦うには、人とは違うスキル、経験を身につけなければいけない。そんな安易な考えで高校卒業後イングランドに渡った。


サッカーの母国で、24時間365日、サッカーに明け暮れた4年間を経て、縁あって湘南ベルマーレというクラブでキャリアをスタートさせる機会をいただいた。


ジュニアユースを中心に、アカデミーコーチを担当させていただき、その後強化部としてトップチームのスカウトやマネジメント業務にも関わらせてもらった。チームのJ1昇格も、J2降格も、個人のちょっとした成功体験も、大きな失敗も、様々な経験をさせてもらった。


毎朝7時から激論のスタッフMTGが行われ、夜遅くまで分析に尽くすスタッフがいて、1分の前後も許されないバスの到着をコントロールするマネージャーがいる。


週末の勝利に向かって、選手スタッフ全員が真摯に自分の仕事を突き詰め、チームのためにぶつかり合う。1年で何人の涙を見たか分からない。毎日が真剣勝負で、毎日がドラマだった。


ただ、そんな5年間の経験を経て抱いたのは「このままじゃダメだ」という挫折にも近い危機感。この感情を抱いたのは、曺貴裁監督、大倉智社長(現いわきFC社長)という強烈な存在と、自分との絶望的な差からだった。


比較することもおこがましいが、365日彼らと時間を共にする中で、監督やGMとしての能力はもちろん、チームや選手を心から良くしたいという想い、サッカーへの追求心、探求心、その「熱量」で勝てないと思った。そこで勝てなかったら差なんて埋まるはずがない。彼らのようになりたいと思う一方、彼らが持つ以上の熱量の対象を見つけないと、自分の存在意義はない。サッカーへの関わり方も含め、もっと見る世界を広げないとダメだ。そして、サッカーの世界から離れ、ビジネスの世界に飛び込んだ。

▼アクセンチュアから再びスポーツの世界へ。そして代表山内との出会い。

たまたま潜り込んだのは、アクセンチュアというコンサルティングファーム。グランドの上からビルの中に職場は変わり、物心ついてから初めて、サッカーから距離を置いた生活が始まった。


周りは皆めちゃくちゃ優秀で、学ぶことが多く、名のある企業の意思決定に影響を与える仕事は、本当に刺激的だった。毎日自分の成長を感じられたし、受け取る報酬も増えていった。


ただ「仕事」と「人生」は分離された。平日と土日は、明確に分かれた。湘南の時には「仕事」と感じて働いたことはなかったが、この時は「仕事」と割り切って働く自分がいた。


「もう一度、好きなスポーツを仕事にしたい」


その想いはずっと持っていた。ビジネスの世界で働くことに一定の自信も掴んできたタイミングで、転職しスポーツマーケティングの仕事をさせていただく機会を得た。


その仕事の中で、業務委託先の候補として出会ったのが、山内一樹(TOKYO CITY F.C.代表)だった。自分よりも若く、優秀で、不思議な魅力のある彼と、直感的に「一緒に仕事をしてみたい」と思った。


結局、その時は一緒に仕事をすることはできなかったが、プライベートでも親交ができる中で、彼がTOKYO CITY F.C.というクラブを運営していることを知った。なんとなく面白そうだな。そう思うものの、自分が携わるなんて、まるで想像していなかった。


そんな出会いから数か月後、山内から突然、「クラブのGMをやってもらえないか」という話をされた。正直、サッカーの世界でも、もう一度クラブに携わることはあまり考えていなかった。湘南以上に愛情を持てるクラブもないと思っていたし、クラブではなく、その周辺にいる方が自分の価値を出せるのではないかと考え始めていた。


ただ、話をする中で自然と自分の考えとクラブの方向性が重なり合っていく感覚があった。いま日本に「Jリーグを目指す」数多くのクラブがあるなかで、そのどことも違う、TOKYO CITY F.C.だからこそ発信できるメッセージがあるのでは。そんな想いが芽生えてきた。


2017年8月末、渋谷のクラフトビールが美味しい居酒屋で、「ぜひ引き受けさせて欲しい。このクラブを一緒に作っていきたい」という話をさせてもらった。

▼「プロセス×結果」という好サイクル

GMという仕事を任された自分は、自ら監督も兼任するということを決めた。やるからには本気で、このクラブの可能性を最大化させたい。けれど、初めて見る社会人サッカーは、想像以上に難しかった。


週3回程度の活動で、それも全員が毎回参加できるわけではない。サッカーに対するスタンスも、向かっている矢印も、最初はバラつきがあった。自分の考えるあるべき姿とのギャップは大きかった。


ただ、間違いなく全員に言えるのは、サッカーが大好きで、意志を持ってクラブに加入してくれたこと。社会人としての貴重な時間で、このクラブに捧げている選手達1人ひとりと本気で向き合い、意味ある時間にすることが、勝つこと以上の自分の責任だと感じた。


迎えた2018シーズン。こだわったのは「試合に向かうプロセス」。勝つかどうかは相手がいることで、コントロールしきれない。でもその確率を1%でも上げるために、トレーニングの構成から試合当日の時間の使い方まで、こだわりを持って積み上げた。


1つひとつの試合で勝つために最善のプロセスを踏み、結果を出し、そのプロセスに自信を与え、成長を加速させる。そんな良いサイクルが少しずつ回り始めた。クラブの運営も、そんなチームに自信と責任を感じ、その運営の努力が、さらに選手の責任感を高めた。バックグラウンドも異なるメンバーから成るクラブに、一体感が生まれだした。小さなステージで、少しずつ、イメージしていたサッカークラブになり始めた。


東京都3部のリーグ戦を全勝で制し、自分が初めて不在で迎えたカップ戦決勝。不思議と自信に満ち溢れていた。積み上げてきたプロセスに、絶対の自信を持てるようになっていた。勝ったことはもちろんだが、選手が躍動し、真剣勝負を楽しんでいることが、それ以上に嬉しかった。


プロでなくても、真摯にサッカーと向き合うことでまだまだ成長する。仲間と1つの目標に向かって夢中になることで、人生がよりハッピーになり、魅力的な人間になる。こんな大人が溢れたら、最高な世の中だなと思えるロールモデルを、このチームなら作れると思った。

▼このクラブなら、人生を賭けられる。

気づけば、自分自身もこのクラブにのめり込んでいった。責任感と同時に、野心も芽生えてきた。昔持っていた「自分がこうなりたい」ではなく、「このクラブを大きくしたい」。それが世に残せる自分のできることかもしれないと思うようになってきた。


2月11日の南葛戦は、クラブと選手の未来を変える1試合だと思っている。クラブにとって、そして選手1人ひとりにとっての人生に残るベストゲームにする。そのための可能な限りのプロセスを踏むことが自分の仕事だ。


このクラブなら、人生を賭けられる。曺さん、大倉さんにも、自信を持ってこれが自分の仕事ですと言える。湘南の時に抱いた挫折、危機感を埋められる、そんな熱量の対象を見つけた気がしている。

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■次の試合情報:東京王者との決戦!東京カップ準決勝 vs 南葛SC

大会:2019 東京都社会人サッカーチャンピオンシップ1次戦 準決勝

対戦相手:南葛SC(都1部)

日時:2019年2月11日(月・祝) 19:00

会場:駒沢オリンピック公園第二球技場

観戦:無料

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