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2018.04.21
Interview

CITY初の外国人選手アンドレの素顔。「クラブ以上の存在」に感じる喜び【インタビュー】

 TOKYO CITY F.C.にクラブ史上初めての外国人選手が加入した。カナダ出身の28歳、アンドレ・ヘラスがその人である。

 来日したのは2016年の9月。昨年は東京都2部リーグの南葛SC(今季から都1部に昇格)に所属しており、日本のサッカーも経験済み。複数回の練習参加を経てCITYに加入し、チームメイト達とも日本語と英語を交えながら積極的にコミュニケーションをとっている。柔和な笑顔と明るい性格ですぐにチームに受け入れられた。

 アンドレがサッカーを始めたのは13歳の頃で、「学校の友達がやっていて、始めてみたらすごく楽しくて、大好きになった」という。それから複数のクラブでサッカーをプレーしつつ、高校時代はバスケットボールやバレーボール、テニス、ゴルフといった多種多様なスポーツに親しんで運動能力を磨いた。

 転機になったのは大学への進学だった。カナダ屈指の名門ブリティッシュコロンビア大学に入学したアンドレは、その頃からサッカーに重きを置く生活を送るようになった。プロチームのように週に5日間練習して、週末に試合をするサイクルが溢れんばかりのポテンシャルを開花させる。

 「サッカーを始めたのが13歳と遅かったし、中学生や高校生の頃の僕は楽しんでプレーする平均的な選手に過ぎなかった。19歳くらいになって、よりハードに練習するようになったらどんどん上手くなった。

 最終学年の時にはカナダ王者にもなって、すごく強いチームで楽しかった。トレーニングもハードで、試合をすれば上手くなっているのを感じたよ。バンクーバー・ホワイトキャップスのセカンドチームのトライアルに行けたこともすごくいい経験だった」

 北米最高峰のサッカーリーグにトップチームを参加させているバンクーバー・ホワイトキャップスの目にも止まるほど、アンドレの実力は高く評価された。同時にサッカーキャリア最高の時期を過ごしたのも大学時代だった。

「大学サッカーでの最後のシーズンは思い出深い。僕たちは35勝2分、そして無敗で戦い抜いた。プレシーズンは無敗、レギュラーシーズンも無敗、プレーオフとカップ戦も相手に全くゴールを許さず、大学チャンピオンになった。カナダで最強の大学チームになったんだよ。本当に素晴らしい経験だった」

 大学卒業後は地元バンクーバーで働きながら、地域リーグのいくつかのクラブでプレーし、2016年9月にワーキングホリデービザを活用して来日する。カナダの名門大学を卒業するほどのエリートがなぜ新天地に日本を選んだのだろうか。アンドレは次のように語る。

 「実のところ、日本に来たのは仕事のためなんだ。僕は再生可能エネルギーの分野、特に風力発電を扱う仕事に就きたかった。バンクーバーでは風力発電に携われる仕事があまりなかったけど、世界中を見渡せばどんどん一般的になってきている分野だと思う。例えば日本では福島の原子力発電所の事故の後、太陽光や風力などを用いてエネルギーを作ろうとしたよね。そうして日本に来て、仕事を探し始めた」

 そうして日本で再生可能エネルギーに関わる仕事を見つけたアンドレは、愛するサッカーを続けるために南葛SCに入団。日本での新たなキャリアをスタートさせた。

 実はアンドレには仕事以外でもう1つ、来日した理由がある。家族のルーツに日本が関係していた。

 「僕の育ての母が日本人というのが来日したもう1つの理由なんだ。もちろん日本人とのハーフではないよ。彼女は僕をチリのサンティアゴから養子に迎えてくれた。生物学的に、僕はイタリアとスペインのハーフだけど、育ての両親はスリランカ人の父と日本人の母なんだ。これを話すと長くなるから今はここまでにしておこうか(笑)」

 ピッチに立てば、普段から見せる優しい笑顔と裏腹に、恵まれたフィジカルを活かした強烈なタックルでボールに襲いかかり、猛獣のごときデュエルを見せるアンドレ。運命に導かれて日本での生活を選び、CITYにたどり着いた。加入のきっかけは、南葛SC時代のチームメイトで、同じく今季からCITYに加入した金澤亮の誘いだった。

 「このチームを亮から紹介してもらって、練習に参加して、(GM兼監督の)深澤さんに会った。トレーニングセッションは本当に素晴らしかったし、雰囲気もすごく良かった。全員がハードワークしていて、取り組む姿勢も良く、質も高かった。僕が日本で経験した中で、最高のトレーニングだと感じたね。初めての練習参加を終えて、すぐにCITYでプレーしたいと思ったよ」

 初めての練習参加から実力を遺憾なく発揮し、すぐにチームに馴染んだ。深澤佑介GM兼監督や選手たちからの熱心な誘いに乗り、無事にCITY加入を果たすと、4月8日の東京都リーグ3部第2節の帝京大学FC戦に途中出場し早くもデビューを飾っている。

 「デビュー戦は全てが素晴らしいものだった。僕らは試合前からいい準備ができていたし、本当に興奮した。ピッチに立って3分くらいは試合に入るのが難しかったけれど、すごく幸せな気分だった。僕自身、大したことはできなかったと思う。それでも試合をしっかり締めて、重要な1勝を掴むことができた。まだベストな状態ではないけれど、プレー時間が増えていけば、すぐに一番いい時の状態に戻ると思う」
 CITYでのデビュー戦を勝利で飾ったアンドレは、自らの新たな挑戦への希望に満ち溢れ、明るい未来を描いていた。
「まずは都リーグ2部昇格を成し遂げたい。僕としては新しい友人を作れてすごく嬉しいし、日本語も練習できる。どのポジションでプレーしても可能な限りチームを助けたい。CITYには素晴らしい文化やコミュニティがあるとも聞いている。このクラブのコミュニティでいろいろな経験ができると思うし、とても興奮しているよ。

 チームメイトたちもスーパーナイス。みんなが僕のことをフレンドリーに迎えてくれて、いろいろ助けてくれるし、そういった姿勢が僕自身が全力を尽くすうえでのモチベーションにもなっている。お互いにいいプラスを生めていると思う。そして、深澤さんは素晴らしい監督だね。質の高いトレーニングを実践していて、優れた指導者だと思う。

 彼は自分がチームに対してどんな考えを持っていているかを話してくれた。このクラブはサッカーをするだけでなく、多くのことに挑戦するコミュニティがあることも。僕は『サッカークラブ以上のクラブ』に入ることができたと感じている。とても興奮しているよ」

 ただサッカーをするだけでなく、ピッチ外でも積極的に活動するCITYの理念に共感し、それも自らのモチベーションに変えているアンドレ。今季の目標に掲げる「圧倒的強さでの都リーグ2部昇格」に向けて貴重な力の源になってくれるはずだ。